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スターデルタ結線図解

三相誘導電動機のスターデルタ始動 / 原理と切替シーケンス
▸ なぜスターデルタ? 11kW以上の三相モーターを直入始動すると突入電流が定格の5~7倍に達し、電源容量・電圧降下・機械的衝撃が問題になる。スターデルタ始動は始動時のみY結線(各巻線にかかる電圧を1/√3)にして突入電流を1/3に抑え、定速到達後にΔ結線へ切り替えて定格運転に戻す方式。
FIG 1 スター結線(Y)/ デルタ結線(Δ) 電気的構造
中性点 U1 R V1 S W1 T Y
スター結線(Y):3巻線の片端を共通接続
U1 R V1 S W1 T Δ 巻線1 巻線2 巻線3
デルタ結線(Δ):3巻線を三角形に接続
TABLE 1 電圧 / 電流 / トルク 比較 電源 200V 三相を例示
ITEM項目 START (Y)始動時 Y結線 RUN (Δ)運転時 Δ結線 RATIOY / Δ 比
各巻線にかかる電圧 200V × 1/√3 ≒ 115V 200V 1 / √3
線電流(始動電流) 直入の 1/3 定格電流 1 / 3
始動トルク 直入の 1/3 定格トルク 1 / 3
FIG 2 切替シーケンス タイムチャート Y → Δ 切替(タイマー 5~15秒)
0 1 2 3 4 5 6 7 8 [s] 始動指令 MC1(主) MC2(Y) Y結線(始動) DT MC3(Δ) Δ結線(運転) 線電流 始動ピーク 切替脈動 運転(定格) デッドタイム(短絡防止)
FIG 2 — Y結線で始動 → タイマー終了でMC2-OFF → デッドタイム後 MC3-ON でΔ結線運転

動作のポイント/ NOTES

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YZX問題の核心 / なぜ「Y→U2」を暗記してはいけないか

4軸の独立性 / デルタ三角形の組合せは物理的に2通りある
▸ 混乱の正体 盤・モーター系には4つの識別軸(電源相・端子ラベル・電線色・モーター巻線)が同居しており、これらが独立しているため色やラベルだけで判断すると誤接続になる。さらにΔ三角形を成立させる巻線の組合せは物理的に2通りあり、規格・メーカーで対応が異なる──「Y→U2」を暗記する資料は破綻する
FIG 3 盤に同居する 4軸 の独立性 混乱の根本原因
AXIS 1電源相 AXIS 2端子ラベル AXIS 3電線色 AXIS 4モーター巻線
R U (/X) U1 ─ U2
S V (/Y) V1 ─ V2
T W (/Z) W1 ─ W2
▸ 4軸の関係 & 同じ赤白青が2箇所にある理由 軸1(電源相)と軸4(巻線)は動かない物理。軸2(ラベル)は規格・メーカーでバラバラ、軸3(色)は相識別の目印。真の判断軸は軸4(巻線対応)のみ。盤の上段下段で赤白青が2系統あるのは、Δ時に各相を2箇所(電源側+もう一端)に接続するため。同色=同端子ではない
FIG 4 デルタ三角形の組合せは 2通り ある どちらでもΔ成立、回転方向のみ違う
JEM-1410 標準
同頂点ペア:U1-W2 / V1-U2 / W1-V2 (Y→U2、Z→V2、X→W2)
R 相 U1 + W2(盤X) S 相 V1 + U2(盤Y) T 相 W1 + V2(盤Z) PATTERN ①
盤 Y →モーター U2
盤 Z →モーター V2
盤 X →モーター W2
別系統(実機にもよくある)
同頂点ペア:U1-V2 / V1-W2 / W1-U2 (Y→V2、Z→W2、X→U2)
R 相 U1 + V2(盤Y) S 相 V1 + W2(盤Z) T 相 W1 + U2(盤X) PATTERN ②
盤 Y →モーター V2
盤 Z →モーター W2
盤 X →モーター U2
! どちらも Δ 成立、見分け方は 銘板 しかない
パターン①と②は物理的にどちらもデルタ三角形を成立させる。電気的には正常に運転でき、差は回転方向のみ。盤の端子ラベル「Y/Z/X」を見ただけでは①か②か判別できない──「Y→V2」「Y→U2」のような特定対応をひとつ暗記しただけでは、規格違いの現場で誤接続になる。判別は必ず盤の結線図 + モーター銘板の両方で行うこと。次ページで具体的な銘板の読み方を示す。
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盤の表記パターン実例 / 銘板の読み方

同じ「YZX」表記でも対応が違う / 判別は銘板に書いてある
▸ ここがハマりどころ パターンBC盤の端子ラベルだけ見ると区別できない(どちらも UVW + YZX)。判別できるのは盤の結線図モーター銘板のみ。「YZX」と書いてあるからB(JEM準拠)だろう、という決めつけが事故の元になる。
TABLE 2 盤の表記パターン実例 4種 A/B/C/D で対応が異なる
AU1V1W1 + U2V2W2 表記
番号表記の盤。同番号同士の盤ズレ配線の盤の両方が実機にある
上段U1 V1 W1
下段U2 V2 W2
同番号配線U2→U2/V2→V2/W2→W2
ズレ配線U2→V2/V2→W2/W2→U2
BUVW + YZX 表記(JEM-1410 準拠)
規格上の標準。Y→U2、Z→V2、X→W2 で対応する
上段U V W
下段Y Z X
巻線対応Y→U2/Z→V2/X→W2
CUVW + YZX 表記(実機で多く見る系統)
ラベル配列はBと同じだが対応が違う。インテックの現場ではこちらが多い
上段U V W
下段Y Z X
巻線対応Y→V2/Z→W2/X→U2
Dメーカー独自表記
U1V1W1 + V2W2U2 のような特殊配列、海外輸入機など
上段独自配列
下段独自配列
巻線対応必ず銘板・仕様書で確認
FIG 5 銘板・結線図ラベルの読み方 これが現場の判別根拠

① モーター銘板(本体側面)

  • 接続方式:「Y-Δ」「Y / Δ」「6端子」等の表記
  • 端子記号体系:U V W + X Y Z/U1 V1 W1 + U2 V2 W2 等
  • 定格電圧:200V/200/400V(Δ/Y)等
  • 定格電流・出力・極数・回転数
  • 製造番号・型式(仕様書照合用)

② 端子箱内の結線図ラベル

  • 端子の物理配置図(上段3端子・下段3端子)
  • 各端子の記号(U1/U2 か U/X かが書いてある)
  • Y結線・Δ結線時の接続例(短絡板の使用方法)
  • 外部配線の接続図(盤からの引込)
  • ※ ラベルが剥がれてたらメーカーの取説を取り寄せる
CONCLUSION 「YZX → U2V2W2」の暗記は NG / 銘板で確認するのが現場の正解
パターンBとCは端子ラベルが同一で、暗記だと確実にどちらかで誤接続になる。判別の根拠は銘板に書いてある巻線対応盤側の結線図のみ。E03の最重要メッセージは「覚えるな、確認せよ」── 4軸の独立性と Δ 三角形の物理を理解した上で、各現場で銘板を読む習慣をつけることが事故防止につながる。
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配線の正しい手順 / よくある間違い / 選定基準

銘板で確認 → 対応表 → 配線 → 相回転確認 までの実務フロー
FLOW 配線の正しい手順 6ステップ 毎現場 必ず この順序で
STEP 1
盤の結線図を確認
制御盤内の結線図ラベル・施工図で 盤側端子の対応(YZXがどの巻線端を意図しているか)を読み取る。
STEP 2
モーターの銘板を確認
モーター本体・端子箱内の銘板から 端子記号体系結線図を確認。短絡板の有無もチェック。
STEP 3
対応関係を整理
盤側端子 ⇔ モーター側端子の対応表を紙に書く。「思い込み」を排除する重要工程。
STEP 4
短絡板を取り外し
直入用の 短絡板(U2-V2-W2 共通接続) が付いていれば必ず外して6本独立配線にする。
STEP 5
配線実施
対応表に従って結線。色ではなく番号と意味で判断。締付トルク・絶縁抵抗測定。
STEP 6
相回転確認
単独試運転で回転方向を確認。逆相だったら電源側の2線を入替えて修正。
CAUTION よくある間違い 4パターン 事故・焼損の主因
NG 1
色だけで判断する(赤と赤を繋ぐ) 盤Y(赤)→ モーターU1(赤)と繋ぐと、U1は既に電源U(赤)に繋がっているため相間短絡。最悪モーター焼損・盤焼損。同じ赤白青が2系統あるのは「相を2箇所に接続するため」であり、色一致=同端子ではない。
NG 2
「Y→U2」を全現場で適用する JEM準拠(パターンB)の盤では正解だが、パターンCの盤では誤接続。同じ「YZX」ラベルでも対応が違うため、暗記NG・銘板で確認するのが鉄則。
NG 3
U2 / V2 / W2 の短絡板を外し忘れる 新品モーターには直入用の短絡板が U2-V2-W2 を共通接続した状態で出荷される場合あり。これを外し忘れたままΔ結線するとΔ運転時に相間短絡。必ず短絡板を外して6本独立配線にする。
NG 4
Y/Z/X を U/V/W の代わりに繋ぐ 概念を理解せず Y/Z/X を電源側として配線すると逆相運転でモーターが逆回転、または運転自体が成立しない。盤Y/Z/X はあくまで「巻線の2番」側として扱う。
TABLE 3 始動方式の選定目安 三相誘導電動機・低圧
METHOD始動方式 RANGE適用容量 USE CASE主な使用シーン
直入始動 ~7.5kW 電源容量が十分で突入電流を許容できる小容量
スターデルタ始動 11~45kW 中容量。電源容量・機械ショック軽減が必要なとき(インテックの主戦場)
インバータ駆動 55kW~/速度制御要 大容量、ソフトスタート、省エネ運転、可変速制御

注意事項/ CAUTIONS